修復のお仕事展 ご報告

遅くなりましたが、前回お知らせした「修復のお仕事展」は584名と大勢の方にご来場いただきました。ありがとうございました。
最終回にあたって、お仕事展の仲間で「宣言文」を作ろう、ということになって、出来上がったのが次の五か条。パネル用の画像なので字が小さくてすみません。




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できあがってみれば、文化財に接するにあたってごく当然なことばかりなのですが、残念ながら日本ではこの「当然」が認識されていないことも多々あるのが現状です。

また、文化財とひと口に言っても、修復のお仕事展には油絵、陶磁器、建造物、紙本(東洋・西洋)、写真、染織、立体物、埋蔵文化財と、様々な分野の人が参加しています。私自身は修復技術者ではなく学芸員ですので、それぞれの分野の技術的な細かい部分まではわからない。とりあえずたたき台を作って展示に参加した修復家の皆さんにご意見を出してもらったのですが、例えば「100年後に残すために」という文言を入れたら、縄文土器の修復をしている人からは「100年くらい誤差の範囲」。写真の修復家や染織を専門とする人からは「100年は保証できない」。…ごもっとも。
「価値」という言葉一つとっても、金銭的価値だと思われてしまうおそれがある。どこに価値を置くかはモノの伝来や所有者の感覚によっても異なってくる。
という具合で、すべての分野に共通する、しかも専門家ではない世間一般へ向けた言葉で宣言することの難しさ。でも、大変面白く勉強になる議論を聞かせていただきました(最終的にまとめ上げたのは私ではなく(株)森企画として一緒に参加している森さんなのですが)。

そして、各分野の修復家が口を揃えたのが、「よみがえる」は使いたくない、ということ。展覧会やテレビなどではよく「よみがえる~」というキャッチコピーで文化財修復を取りあげていますが、修復しても若返るわけではない。何百年も経ったものが、できた当時の状態に戻ることはあり得ない。劣化したものは二度とよみがえらないのだ、と。最後の「作品は甦りません。だから大切に。」には、そういう想いが込められています。

修復のお仕事展の様子は、伝世舎さんのブログにもアップされています。



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by kyougen-kigyo | 2018-11-09 20:08 | 展覧会


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