日本刀文化振興協会の公開鑑賞会に参加

鎌倉の話ではありませんけれども・・・

先日、江戸東京博物館学習室で行われた公益財団法人日本刀文化振興協会の公開鑑賞会に参加してきました。今回は刀装具が20点、拵えが5点、面頬と額鉄が4点、刀剣が7口、それに加えて初心者コーナーに和泉守兼定(ノサダ)と古波平という全然違うタイプの2口が並んでいたのが面白いな、と思いました。

刀装具と甲冑・拵えは〈お手を触れないでください〉ですが、開始後しばらくすると係りの方が裏返してくださるので、裏側もじっくり拝見できます。美術館の展示には出てこない実戦レベルのものも間近に見ることができるし、刀は手にとって拝見することができるので、とても勉強になります。こういう鑑賞方法を覚えてしまうと、ガラスケース越しはもどかしくてしょうがない。
鎌倉時代から現代まで、まんべんなく出品されていたので時代による姿の違いもよくわかります。現代刀で出ていたのが大野義光刀匠の山鳥毛写しの太刀(長さ79.4センチ、反り3.3センチ)。豪壮で重ねが厚くて、すごく重い。と思ったら、本歌の上杉家伝来・号〈山鳥毛〉はもっと厚くて重いのだそうです。すごいなぁ。

今は現代刀の大ファンですが、古刀では案外、末備前が好きだったりします。来国行の太刀に一目惚れして以来の日本刀好きなので、以前は鎌倉時代のばかり見ていましたが、自分の手で持って鑑賞したりするようになったら末備前も面白いな、と思うようになって。離れて見るのと持つのとでは、印象が違うものです。鎌倉期の太刀がちょっと遠い存在なのに対して、末備前は何というか、親しみやすい。私は小柄なのでサイズ的な問題もあるのかもしれませんが。
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# by kyougen-kigyo | 2012-12-03 21:12 | 日本刀

吾妻鏡、考察編 ~関東陰陽師のこと~

治承4年に頼朝の仮御所になった中古物件(11月21日のブログ参照、正確には知家事兼道の屋敷と書いてあるがこの人物の詳細は不明)には、正暦年間(990~994年)に建立してから回禄の災い(=火事)に遭ったことがない、(安倍)晴明朝臣が鎮宅之符を押したからである、という面白い話が付随しています。

確かに正暦年間ならば安倍晴明は生きてます、推定70歳前後。しかし、もちろん鎌倉には来てませんし、京都にあった家をわざわざ鎌倉まで運んだわけでもないでしょう。では、何故そういう伝説が出てきたか。安倍晴明って鎌倉時代にも有名な人だったんだねー、という他にも背景があります。

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# by kyougen-kigyo | 2012-11-29 20:52 | 考察編

鎌倉国宝館「古都鎌倉と武家文化」展

18日に鎌倉に行った時、鎌倉国宝館の展示も見てきました。世界遺産登録に向けて盛り上げているところなので、国宝館・金沢文庫・神奈川県博の三館連携特別展「武家の古都・鎌倉」の一環で「古都鎌倉と武家文化」展を開催中。三館分が1冊になった分厚い図録も出ていたので、重いけど購入しました。さすがに世界遺産に向けて貴重品を出したなー、と思いながら、ぱらぱらと見ていたら、歴代の研究者たちが集めた陶片のページがありました。

「鎌倉研究を行った多くの人々が青磁・白磁片に対するただならぬ執着を見せている」

・・・はい。間違いございません。ここにも海岸でコツコツと表面採集した個人蔵の龍泉窯青磁片が(笑)
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それにしても、ただならぬ執着と来ましたか・・・だって鎌倉時代の欠片が手元にあるって楽しいじゃないですか。それも、海岸に散乱したまま誰も拾わなかったら他の漂着ゴミと一緒に掃除されて捨てられてしまうか、また波に持って行かれてしまうか、砂に埋もれてしまうかのどれかなんですから。

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私が拾った中ではこれが随一。和賀江島の付け根のあたりで見つけました。最大径5センチ弱くらい。コンパクトカメラで撮ってるので接写が上手くできませんが、鎬蓮弁文といわれる彫り文様が施された鉢の一部と思われます。この手の鉢は鎌倉ではよく見つかっています。例えば、こちらの東京国立博物館収蔵品。↓
http://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0045096
ただし、東博のは宋代砧青磁の優品ですが、私の持ってる欠片は元時代に下ると思われます。

白磁は、・・・鎌倉時代のと江戸時代のと現代のと、見分ける自信がないですね。
高麗青磁か建盞の欠片でも落ちてないかと思っている今日この頃です。

ほとんど展覧会の話になってませんね・・・個人的には三浦義明坐像が良かったと思います。
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# by kyougen-kigyo | 2012-11-23 23:11 | 展覧会

吾妻鏡持って、鎌倉に行く。(1) ~頼朝の鎌倉入り~

吾妻鏡に鎌倉が出てくるのは、源頼朝が鎌倉入りする治承4年(1180)10月以降。従って、しばらくは頼朝の動きを追いつつ鎌倉を見ていきます。ちなみに石橋山で大負けした2ヶ月ほど後の話です。

今の暦では11月上旬にあたる10月6日に、先陣を畠山重忠、後陣を千葉常胤として相模国に到着、まだ家を建てていなかったので民屋を宿館としたとあります。6日の条だけでは「相模国」とだけで、どの辺に泊まったのか不明。翌7日、鶴岡八幡宮を遥拝し、亀ヶ谷にあった父・義朝の屋敷跡を訪れた、とあるので鎌倉に入ったことがわかります。鶴岡八幡宮は現在の場所ではなく、頼朝の先祖である頼義が勧請した材木座の方にある最初の八幡宮、今は〈元八幡〉と呼ばれている社のことです。「遥拝」ですから、この時は浜の方へは行かなかったのでしょう。

また、義朝の屋敷跡に家を建てたいと思ったが土地が狭いし、すでに義朝を弔う御堂が建てられていたので取りやめた、と書いてあります。源氏山の東麓で、後に北条政子が寿福寺を建てた場所。源氏山も頼義が旗を立てたと伝えられる場所で源氏と縁が深く、今は頼朝の銅像があります。
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寿福寺の門。境内は立入禁止です。正面に見える木立が源氏山で、裏手の墓地の脇からも上がることができますが、

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こんな所を登ることになるので、ハイヒールの人にはお勧めできません。




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源氏山の頼朝公像。こっちにはしばらく来ていなかったので、久々にお会いしました。そういえば後ろ側ってあまり見たことがなかったな、と思って回ってみたら背面も結構丁寧に作られてますね。

吾妻鏡の記述に戻ると、10月11日、政子が伊豆から鎌倉に到着。12日、頼朝は鶴岡八幡宮を現在の場所に移します。まだまだ簡素な社だったようですし、今のように街を一望する階段の上ではありません。今の鶴岡八幡宮境内の〈若宮〉辺りに最初の社殿があったと言われています。16日には、ここで僧侶による勤行が行われます。中世は神仏習合の最盛期、神社で僧侶が読経するのは珍しい風景ではなく、鶴岡八幡宮は近世まで寺扱いで、吾妻鏡にも「鶴岡八幡宮寺」と出てきます。
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現在の舞殿の向かって右側にある若宮。この辺に最初の社殿があったと思われます。





勤行の前日の15日に頼朝が「鎌倉御亭」に入っていますが、この屋敷は正規の御所ができるまでの仮住まい、山ノ内から中古物件を移築したもの。実はちょっと飛ばしましたが、13~14日の間に富士野の合戦で源氏が勝利した記事があり、これを受けて16日には頼朝も駿河へ向けて出陣しますから、仮御所に引越してから1泊しかしていません。先祖伝来の地である鎌倉に入ったものの、落ち着く暇もない様子が見えます。(以上、平成24/11/18撮影)
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# by kyougen-kigyo | 2012-11-21 20:54 | 鎌倉歩き

吾妻鏡持って、鎌倉に行く。 ~前置き~

鎌倉には思い立った時に目的もなくふらりと行くことが多いので、そろそろテーマを決めて歩いてみよう。ということでテーマ設定。

「吾妻鏡を歩く」

これなら当分ネタ切れしないでしょう。吾妻鏡は鎌倉時代の基本史料ではありますが、政治的な書物だから誇張あり、都合の悪い話飛ばしてないか?という部分あり、しかも編年の間違いありと欠点も多い。でも趣味でやることだし読んでて面白いのでまぁ、いいことにします。
基本的に使うのは、国史大系と岩波文庫、国文学研究資料館の吾妻鏡DB、そして解読不能な語に出会った時に非常に助かるのが五味文彦・本郷和人編『現代語訳 吾妻鏡』(吉川弘文館)。その他参考文献としては、河野眞知郎『中世都市 鎌倉─遺跡が語る武士の都』(講談社学術文庫)、松尾剛次『中世都市鎌倉を歩く』(中公新書)、石井進『鎌倉武士の実像』(平凡社ライブラリー)などが入手しやすく読みやすいところです。

なお、私は中世神仏習合史を調べたことはありますが、中世史を専攻した者ではありません。独断と偏見と好みで書いていきますので、中世について知りたい人は自力で調べてください。
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# by kyougen-kigyo | 2012-11-19 19:46 | 鎌倉歩き


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