福井旅その②
(承前)
5月5日は敦賀から福井へ出て、時間があったので福井県立歴史博物館へ。福井駅からバスか福井鉄道ですが、初めて降りる駅で乗り場もよくわからないし本数も少ない、調べたり待ったりしているより歩いた方が早い。で結局、片道30分を往復歩いてしまいました。東京の人はよく歩く、と言われますが、歩くのが好きというより気が短くて待つのが嫌いなんじゃないかと…私の場合は歩くのが好きでもあるのですが。
福井県立歴史博物館は、オープン収蔵庫というのがあります。「資料の保管状況など博物館の舞台裏を紹介しています。」とのことですが、収蔵庫を展示しているというか、きれいな収蔵庫だな、と。当然どこかに本物の収蔵庫があるんでしょうけれども。オープン収蔵庫に立入禁止になっている階段があったので、あの上かな。実際にはあんなにきれいに並べておけるものではありません、…私は学芸員経験者なので舞台裏は知ってます。多少の衝撃では壊れないような安全なもの(引札や和菓子の木型など)は引出しに入っていて、見学者が自由に引っ張り出して見ることができるようにしてありました。
常設展示の方は、、旧石器時代から昭和までの資料が展示されています。越前焼の窯を復元したものなんかもあって、見応えはありました。康継の刀も出ていましたね。そういえば康継は越前でしたっけ。
この日の見学は以上で、駅に戻って夕食用に焼鯖寿司を買ってホテルへ。
翌6日が今回の旅の目的、私の周りでは「朝倉さんち」と呼ばれている一乗谷朝倉氏遺跡。一人旅予定でしたが合流1名、朝の待合わせに時間があったので福井駅周辺をお散歩しました。駅前は恐竜押し。大きいのがフクイティタン、2頭向き合ってるのは左がフクイラプトル・右がフクイサウルスだそうです。この恐竜たちは動くし、吠えます。結構リアルに吠えてるので、知らずに通りかかるとびっくりします。写真を撮ると背景の駅の壁画がなかなか効果的。
駅の近くに北ノ庄城跡があるということで、見に行きました。柴田神社という神社になっていました。お市さんがモテ祈願ってどうなんだ、とか、三姉妹神社ってなんだ、とか、これまたいろいろ突っ込みたくなる感じでしたが。城の遺構は保存されてました。
10時の普通バスで朝倉氏遺跡へ。福井駅から特急バスも出ていますが、普通バスでも20分程度で着きます。ただし、行きも帰りも本数が非常に少ない。6日は平日だったので猶更でした。電車で一乗谷に行く方法もありますが、こちらは更に本数が少ない。基本的に車で来ることしか考えていない感じです。公共交通機関移動の人間には厳しいな。遺跡は、見事でした。先に一番奥の復元町並みまで行ったのですが、見渡してまず目につくのが井戸の跡。写真ではわかりにくいですが、1軒に1つは井戸がある。水が豊富な所だったんですね。 復元町並みはこんな感じ。屋根は板葺きで石で押さえるタイプ。 なかなか気合の入った復元でした。復元に使ったチョウナなんかも展示されていて。 天井と窓はこんな感じ。冬は窓には何か覆いを付けるんだろうか?このままじゃ寒いですよね。 染物屋さんの藍甕。 お店。人形がちょっと怖いです、… ジオラマもありました。
復元町並み区域の向かい側が朝倉義景館跡。こちらは建物などの復元は無くて、建造物は唐門のみ。しかし、建物の跡はわかるようになっているので、館の裏手の庭園の方に登って見渡すと構造がよくわかります。写真中央辺りの細長い小さい緑地は「花壇跡」だそうです。何が植わっていたんでしょうか。その花壇を囲んで会所や茶室があったようです。写真手前の四角いエリアが会所跡。裏手には水も流れていて、私はなんだかこの部屋が気に入ってしまったのですが。 「湯殿庭園」跡。
義景館からまた道路を渡って、平面復元地区になります。その背後に「月見櫓」という矢印のついた急な階段があったので登ってみました。木で展望はあまりよくありませんが、一乗山城方面が見えます。
平面復元では義景館跡と同じく建物などを復元するのではなく、この区画に何があったかという解説が随所に置かれています。出土品から「医者の家」とか「鉄砲鍛冶」とか、どんな人が住んでいたかも推定されているので、街の様子が想像できて面白い。 遺跡の出口は大きな石で作られた下城戸。
平面復元地区から下城戸までは遊歩道があるのですが、歩く人は少ないようで、だいぶ荒れています。車で来ることを想定して公共交通機関が少ない→車の人は車に戻らなければいけないんだから当然、歩く人は少ない。ということになると思います。遺跡をじっくり見るなら自分の足で歩くのが一番ですが、遊歩道を歩く人を増やしたいならバスなどを充実させた方が良い。あと、軽く食事できる場所がもうちょっとあると良いかなぁ。フランス料理のレストランはありましたが、高級フレンチコース料理食べてる時間はないし、旅先の昼食でその出費はちょっと。観光バスで行くような人向けなんでしょうね。
下城戸を抜けて駅の方へ行くと県立の朝倉氏遺跡資料館。出土品が展示されています。ベネチアのゴブレットや、定窯白磁の破片、中国でも珍しいような釉裏紅の破片まで出ています。どういう経路で朝倉さんが手に入れたんだか。さすがの品揃えです。
谷一つがほぼ丸ごと遺跡として保存されているという稀有な地域です、遺跡好きなら一見の価値あり。興味ない人には平面復元はただの広場にしか見えないかもしれませんが…私と同行者はかなり楽しんできました。楽しみ過ぎて数少ないバスを逃してタクシーで福井駅まで帰りましたけれども。ここが旅のメインだったので、丸一日を朝倉氏遺跡に当てていて良かった。
(つづく)
5月5日は敦賀から福井へ出て、時間があったので福井県立歴史博物館へ。福井駅からバスか福井鉄道ですが、初めて降りる駅で乗り場もよくわからないし本数も少ない、調べたり待ったりしているより歩いた方が早い。で結局、片道30分を往復歩いてしまいました。東京の人はよく歩く、と言われますが、歩くのが好きというより気が短くて待つのが嫌いなんじゃないかと…私の場合は歩くのが好きでもあるのですが。
福井県立歴史博物館は、オープン収蔵庫というのがあります。「資料の保管状況など博物館の舞台裏を紹介しています。」とのことですが、収蔵庫を展示しているというか、きれいな収蔵庫だな、と。当然どこかに本物の収蔵庫があるんでしょうけれども。オープン収蔵庫に立入禁止になっている階段があったので、あの上かな。実際にはあんなにきれいに並べておけるものではありません、…私は学芸員経験者なので舞台裏は知ってます。多少の衝撃では壊れないような安全なもの(引札や和菓子の木型など)は引出しに入っていて、見学者が自由に引っ張り出して見ることができるようにしてありました。
常設展示の方は、、旧石器時代から昭和までの資料が展示されています。越前焼の窯を復元したものなんかもあって、見応えはありました。康継の刀も出ていましたね。そういえば康継は越前でしたっけ。
この日の見学は以上で、駅に戻って夕食用に焼鯖寿司を買ってホテルへ。
翌6日が今回の旅の目的、私の周りでは「朝倉さんち」と呼ばれている一乗谷朝倉氏遺跡。一人旅予定でしたが合流1名、朝の待合わせに時間があったので福井駅周辺をお散歩しました。駅前は恐竜押し。大きいのがフクイティタン、2頭向き合ってるのは左がフクイラプトル・右がフクイサウルスだそうです。この恐竜たちは動くし、吠えます。結構リアルに吠えてるので、知らずに通りかかるとびっくりします。写真を撮ると背景の駅の壁画がなかなか効果的。
駅の近くに北ノ庄城跡があるということで、見に行きました。柴田神社という神社になっていました。お市さんがモテ祈願ってどうなんだ、とか、三姉妹神社ってなんだ、とか、これまたいろいろ突っ込みたくなる感じでしたが。城の遺構は保存されてました。
10時の普通バスで朝倉氏遺跡へ。福井駅から特急バスも出ていますが、普通バスでも20分程度で着きます。ただし、行きも帰りも本数が非常に少ない。6日は平日だったので猶更でした。電車で一乗谷に行く方法もありますが、こちらは更に本数が少ない。基本的に車で来ることしか考えていない感じです。公共交通機関移動の人間には厳しいな。遺跡は、見事でした。先に一番奥の復元町並みまで行ったのですが、見渡してまず目につくのが井戸の跡。写真ではわかりにくいですが、1軒に1つは井戸がある。水が豊富な所だったんですね。
復元町並み区域の向かい側が朝倉義景館跡。こちらは建物などの復元は無くて、建造物は唐門のみ。しかし、建物の跡はわかるようになっているので、館の裏手の庭園の方に登って見渡すと構造がよくわかります。写真中央辺りの細長い小さい緑地は「花壇跡」だそうです。何が植わっていたんでしょうか。その花壇を囲んで会所や茶室があったようです。写真手前の四角いエリアが会所跡。裏手には水も流れていて、私はなんだかこの部屋が気に入ってしまったのですが。
義景館からまた道路を渡って、平面復元地区になります。その背後に「月見櫓」という矢印のついた急な階段があったので登ってみました。木で展望はあまりよくありませんが、一乗山城方面が見えます。
平面復元では義景館跡と同じく建物などを復元するのではなく、この区画に何があったかという解説が随所に置かれています。出土品から「医者の家」とか「鉄砲鍛冶」とか、どんな人が住んでいたかも推定されているので、街の様子が想像できて面白い。
平面復元地区から下城戸までは遊歩道があるのですが、歩く人は少ないようで、だいぶ荒れています。車で来ることを想定して公共交通機関が少ない→車の人は車に戻らなければいけないんだから当然、歩く人は少ない。ということになると思います。遺跡をじっくり見るなら自分の足で歩くのが一番ですが、遊歩道を歩く人を増やしたいならバスなどを充実させた方が良い。あと、軽く食事できる場所がもうちょっとあると良いかなぁ。フランス料理のレストランはありましたが、高級フレンチコース料理食べてる時間はないし、旅先の昼食でその出費はちょっと。観光バスで行くような人向けなんでしょうね。
下城戸を抜けて駅の方へ行くと県立の朝倉氏遺跡資料館。出土品が展示されています。ベネチアのゴブレットや、定窯白磁の破片、中国でも珍しいような釉裏紅の破片まで出ています。どういう経路で朝倉さんが手に入れたんだか。さすがの品揃えです。
谷一つがほぼ丸ごと遺跡として保存されているという稀有な地域です、遺跡好きなら一見の価値あり。興味ない人には平面復元はただの広場にしか見えないかもしれませんが…私と同行者はかなり楽しんできました。楽しみ過ぎて数少ないバスを逃してタクシーで福井駅まで帰りましたけれども。ここが旅のメインだったので、丸一日を朝倉氏遺跡に当てていて良かった。
(つづく)
by kyougen-kigyo
| 2016-05-16 11:25
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